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ePMによってEDFのパフォーマンスをフリート全体で高めていくために


EDF社原子力安全担当フリート・シニア・アドバイザーのFrancois Wienhold氏がフランスの原子力フリートにおいてePMの価値を最大化させる方法について語


より強力なパフォーマンスモニタリング(ePM)」の導入はEDFでフリート全体に新たな価値をもたらします。継続的なモニタリングと詳細な分析とともに、発電所パフォーマンスについて外部からのフィードバックが得られます。発電所管理部門とWANO専門家による直接のやり取りは、ベストプラクティスを共有し、コーチングやトレーニングを受ける機会になります。パフォーマンス改善のためのアクションプランの有効性に関して外部から見解をもらえれることで、各発電所は疑問を突き付けられる機会になります。またギャップ解決のための支援をWANOから受けるチャンスでもあります。ePMは、WANOとの新たな協調のあり方です。

導入開始前にリスクを明確にし、次のようなリスクがあがりました。

•    ePM のことを詳しく知らないうちに、この新しいアプローチを広く適用するにはリスクがある。
•    ePMはWANOが発電所レベルで導入するものなので、プロセスの導入方法が発電所で異なるというケースが考えられる。
•    新しいWANOとの連携方法を正しく実施できる環境を整備していないと、発電所と企業レベルのやり取りに複雑さの層が1枚加わる。
•    企業の戦略イニシアチブと発電所へのWANOのフィードバックの間のアプローチの調整が取れない。
•    作業負荷の過小評価 


これらのリスクに対して当社が選択した対処方法をご説明します。1点目が、ステップバイステップでePMを導入するアプローチです。 第1弾として、2021年にショー原子力発電所で単独にePMを導入しました。 第2弾では2022年に4か所の発電所で導入しました。単独のフリートでいくつかの導入を試験し、そこからモジュラーアプローチを構築して、複数の発電所に導入を広げることが目的です。今後の導入については、ピアレビューのスケジュールをベースにロードマップを作成しましたが、定期検査のプログラムや発電所のパフォーマンスも考慮に入れています。段階ごとに学習を重ねて、改善していくことが目標です。

2点目が、ピアレビュー後にePMを開始することです。ピアレビューは発電所の全体像が共有できるので、選択肢としてベストです。ピアレビューの後だと、ePMで発電所の改善計画が策定しやすくなります。このルールはすべての発電所に共通です。このアプローチを繰り返すことで学習効果が高められ、企業全体のプロセスの一貫性が進みます。

3点目が、フリート全体でe-PM指標の導入を調整することです。当社ではまずショー原子力発電所でe-PM指標の使用を開始し、数カ月かけてWANOとの間でePM指標の定義を明確にしていきました。ePM指標の80%はEDFのパフォーマンス指標に近かったのでそれは良かったのですが、細かく見ると、定義が同じでないものもあったため、置き換えが必要でした。EDF とePMの指標でレポートが重複するリスクもあり、これは対応が必要でした。そこで当社では発電所と本社機能部門からなるワーキンググループを立ち上げ、フリート全体でEDFのパフォーマンス指標とePM指標を整合させていきました。

ショー原子力発電所での最初の導入からわかったことも何点かありました。
 
•    発電所長のリーダーシップがePM導入実現のカギを握っていた。ショー原子力発電所の所長は願望を発電所のマネージャーに明確に伝え、WANOとの関係性を成功させるために尽力した。
•    WANOの専門家と発電所のマネージャーの間の連携が強まった。指導やコーチングが実現し、フィードバックが非常に前向きであるなど、ピアレビューとは大きく性質の異なる連携が生まれた。
•    機能横断的なアプローチによって、現在の発電所のアプローチを補う新たな視点が提供された。
•    ePMが発電所の運営システムの一部として組み込まれ、短期パフォーマンス計画、長期戦略ビジョンの中にも反映された。
導入を成功させる条件もいくつか明らかになりました。最初の条件はWANOの部門リードとしての信頼性です。それぞれに特徴の異なる発電所に対して、WANOの専門家が関連するフィードバックをマネージャーに提供するのは簡単な任務ではありません。状況の共通理解を持ち続けるためには、WANOチームと発電所の対応担当者の間での信頼と定期的なコミュニケーションが不可欠です。部署のマネージャーレベルだと英語がハードルになることもあります。診断の連携はショー原子力発電所ではとても簡単なステップでした。発電所の主な期待事項は、発電所にとって適切な時期にWANOから実践的な支援を受けることでした。WANOにとっては、たやすいことではないかもしれません。 

最後に、会社レベルでePMがどう貢献するかについて少しお伝えしたいと思います。ePM はEDF社を補完するアプローチですが、統合は挑戦でもあります。EDF社のリーダーにとってはパフォーマンスの実態を補える機会となりますし、CNOとWANOの間で定期的な議論もあります。ePMで指摘された発電所に関するギャップは、会社の既存の改善ループで対処できることもあります。そのあたりのバランスをうまく見い出し、
企業側とWANOの解決策の間で整合させる必要があります。規模の大きなフリートでePMを導入する場合、会社レベルとWANOの間での良好なやり取りや調整が必要になります。

結論として、ePMの導入は発電所に新たな価値をもたらし、WANOとの新たな協調のあり方が生まれます。持続的な成功を実現するには、ePMを試験し、そこから学習し、ePMを発電所と会社レベルでの改善ループに組み込む必要があります。