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エクセレンス追求への道のり ― グランドガルフ原子力発電所で実施したパフォーマンス改善計画


以下の記事は202210月に開催されたグローバルCNOフォーラムでEntergyCNOBill Maguire氏が行ったスピーチを元に作成された

 
ルイジアナ州ニューオーリンズに本社を構えるエンタジー社は、アーカンソー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テキサス州の運営会社を通じて、300万人の顧客に電力を提供しています。約12,500人の従業員が、現在と未来の生活に電力を供給するために懸命に働いています。

会社の使命を果たすため、当社はクリーンで信頼できる持続可能な原子力エネルギーを安全かつ効率的に提供しています。エンタジーはミシシッピ州ジャクソンに本拠を構える原子力部門が5基の原子炉を所有・運営しています。


 
  • アーカンソー・ニュークリア・ワン1号機、2号機 (アーカンソー州ラッセルビル)
  • グランドガルフ(ミシシッピ州ポートギブソン)
  • リバー・ベンド(ルイジアナ州セントフランシスビル)
  • ウォーターフォード3(ルイジアナ州キロナ)
グランドガルフ発電所には電気出力1,500 Mweの沸騰水型原子炉(BWR)1基があります。発電所は、2020年に燃料交換と保守の定期検査を終え、この時タービン制御系の交換(デジタル化)とタービンの弁体駆動部(バルブアクチュエータ)と油圧系の全交換も行いました。新型コロナウイルスの発生時に定期検査が開始されたため、完了が遅れました。定期検査の後、タービン制御弁の駆動部(アクチュエータ)に設計上の問題が見つかり、何回もプラント停止に陥りました。

エンタジー社はWANOと提携して、重点計画を策定し、グランドガルフでプラントの欠陥の原因と設備信頼性、パフォーマンス改善を維持する組織パフォーマンスに対処することにしました。発電所でリカバリーチームが立ち上げられ、それに加えてエンタジー社の原子力本社チームが支援と監督を行いました。リーダーとWANOのSME(対象分野の専門家)との頻繁な関与も計画の一部に盛り込まれました。戦略作成の焦点は、組織のパフォーマンスと業績につながる主なパフォーマンスギャップを継続して注視することでした。

具体的なアクションと望ましい成果を掲げたリカバリー計画も策定し、アクションと結果は100日単位で完了することを期待事項としました。このやり方で、計画を管理可能な規模に維持することができましたし、実施したアクションの有効性と達成した成果に基づいて「評価と調整」ができる柔軟性を備えた計画にすることもできました。

計画での最重要項目の一つが、グランドガルフ原子力発電所の上級リーダーから現場監督者まですそ野が広がるリーダー層のための人材開発戦略でした。中間層のマネージャーを巻き込み、中間マネージャーが現場監督者をメンタリング・育成する能力を高めたことは、持続的な変化を生み出す重要な要素でした。指導の有効性に焦点をあてたペア観察が行われるようにすることは、当初の予想よりも大変でした。しかし、中間層のマネージャーが現場監督者に必要な指導やフィードバックを与えるようにするための作業は、発電所のパフォーマンス改善維持のために欠かせませんでした。

計画の中でもう一つ重視された要素が、従業員とのコミュニケーションと関与でした。それにより、全ての従業員がパフォーマンスギャップやギャップ解決のために実施するアクション、改善された行動や成果のためのマイルストーン、改善に必要な行動を明確に理解するようになりました。

WANOで業界パートナーと一緒に仕事できたことは、パフォーマンス改善への道のりにおいてとても有益でした。動画や対面での会議が頻繁に開催され、計画のアクションの有効性やより強力なリーダーシップチーム開発、健全なプロフェッショナル行動、結果達成に向けた進捗について継続的な対話が行われました。

改善計画の重要な要素を重視し続けられたことは、とても有益でした。持続的に重視できたことで、発電所リーダーは従業員の育成と技能構築に取り組めるようになり、これがパフォーマンスの持続的な改善に貢献しました。

原子力チームに対する本社の関与は、パフォーマンス改善計画にとって重要な要素で、成功に必要なリソースを発電所が確保するうえで欠かせない要素でした。本社チームは計画実行のペースを発電所に積極的に確認し、実施したアクションの有効性を独立的に検証するために質問しました。WANOはリソースを投入し直接支援してくれました。また、グランドガルフのチームとパフォーマンス改善で同様の経験を持つ他の業界組織との橋渡し的役割も果たしてくれました。

パフォーマンス改善を持続させ、エクセレンス追求への道のりを続けるために、グランドガルフのチームは過去18カ月で完了した基礎的な作業と業界のエクセレンス達成に向けた今後の行程をリンクさせた計画を策定しました。リカバリー期間中のパフォーマンス改善計画では幅広い分野数項目に重点を置きましたが、業界のエクセレンス計画では機能分野ごとのギャップにターゲットを絞り、ギャップとこれらのギャップの原因となる要素に対処するアクションを策定します。

本社チームはパフォーマンスの回復から業界エクセレンスの追求への移行をスムーズに進めるために発電所パフォーマンスの総合的な評価に関与しています。総合的な評価の結果をもとに、増強している支援を減らし、自社の監視体制に戻せる分野を特定します。

総括として、重要で持続的なパフォーマンス改善の実現のカギとなった要素は次の通りです。
  • 全体パフォーマンスの中核要素にフォーカスした重点計画の策定(約100日ごとに「評価と調整」を繰り返すこと想定した基本的な計画)
  • 適切なタイミングで効果的にアクションを実現するための発電所リーダー、本社リーダー、WANO間での頻繁な関与
  • 振る舞いの改善やプラントのパフォーマンスを前進させるための重点的なパフォーマンス指標の使用
  • すべてのステークホルダーとの頻繁なコミュニケーション。取組中の事項、注意が必要な事項に関する一貫したフィードバックの維持